Md(26)
山がないでおなじみの千葉県ですが、意外にも色々な鉱物資源が産出する土地柄で、たとえば一宮では砂鉄が取れましたし、茂原では天然ガスとヨウ素が採れます。そしてシャチで有名な鴨川の地にも地味ながら日本を支えた鉱山がありました。




鉱山があったのは鴨川平野の南に位置する嶺岡山中。ここで採掘されたニッケル鉱はトロッコと索道で太海駅まで運ばれたのち船橋駅そばの工場で精錬されたそうですが、一方で山麓の貝渚にも工場が存在しそちらにもトロッコで鉱石が運搬されていたようです。


この鉱山軌道、鉱山寄りは林道に転用されてしまったのですが、工場手前の尾根越え区間はそのまま放置されているとのことなので、さっそく林道を上って分岐点を探します。
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左手に行く道が柵で塞がれていますが、これはそちらが別荘地となっているため。道路の意味よ…
このあたりはすでに林道転用区間のはずなので少し戻ります。
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林道はけっこうな下り勾配ですが、本当にこんなところを軌道が通っていたのでしょうか?いやむしろ、手押しトロッコゆえこの勾配が逆に好都合だったところもあるのかもしれません。
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あれ…林道がカーブに差し掛かりました。ここより手前で軌道は北に進路を変えていたはずですが、やはり分岐地点は判然としません。仕方がないのでひとまず山中に分け入ってみます。
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さまようこと約10分…
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うーんなんか道っぽい…?(上流・起点方向を向いています)
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下流方向(北側・工場方向)を見ても判然としませんが、とりあえず下降。
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あーこれは堀割ですねぇ…。
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しかもここにきて急に境界柱が現れました。ここが軌道跡と見て間違いないようです。

さらにこの境界柱の一つを見てみると…
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鴨川化成!!!
これって嶺岡鉱山の採掘を行っていた鴨川ニッケルのことではないでしょうか…?
後日調べてみると、やはり鴨川化成という会社は鴨川ニッケルが1962年に社名を変更したものでした。ちなみに同社はその後、紀文食品グループを経てキッコーマン傘下のキッコーマンソイフーズに(太陽と鳥のマークの調整豆乳作ってる会社です)。化成事業は関連会社のキッコーマンバイオケミファに引き継がれているようです。

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カーブを描きながらも勢いよく下っていく路盤。いかにも鉱山鉄道らしい眺めにまた一興。
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こちらにも鴨川化成の境界柱。ピンクのテープが付いているところを見ると未だに人の出入りがありそうです。

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一旦振り返ってみると驚きの痕跡が残されていることに気付きました。
写真中央やや左寄りに境界柱が一本立っています。そしてその右手の山肌にピンクの印がつけられた境界柱がもう一本立っています。確認してみるとどちらにも鴨川化成の文字。すなわち、このごく近接した二本の境界柱、その間こそが軌道跡だったわけです。

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少し谷に下りてみるとこれほどかというばかりに路盤がはっきり見えました。これはなかなかヤバい物件を引き当てたかもしれんぞ…。

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左手前方に何か見えました。あとで行ってみましょう。

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路盤というよりはただの谷な気がするのですがとりあえず勢いのままにどんどん下降。
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なにやら工場が見えてきました。
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事業者の名前はキッコーマンバイオケミファ。そう、鴨川ニッケルの事業を引き継いでいるいわば後継者です。


これ以上進んでも工場の敷地に突き当たるだけです。もう帰ろうと左手を振り返ると…
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ナ、ナンダコレー
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よくわからないんですが、これって精錬施設じゃないでしょうか…??佐渡島の北沢浮遊選鉱場などこんな感じだった気がします(雑
何が何だかわかってないのですが、とりあえず写真をぺたぺた貼っておきます。(鉱山ど素人なので必要な写真を撮影していないかもしれません。ご了承ください。)

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選鉱場跡(?)を横断しているといつの間にやら柵に囲まれてしまいました。山中を分け入ってきたので管理者の想定しないところに迷い込んでしまった可能性は否めませんが…
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振り返ると鳥居。神社が立入禁止なのですか…?
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こじんまりとした社殿は、どうもそんなに古いものではなさそうです。

傍にさらに奥へ続く小道があったので進んでみると、小さな広場に突き当たりました。
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その場所は、ちょうど選鉱場の上でした。
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状況から見てここがトロッコの終端でしょう。ここまで鉱石を運んできて選鉱場らしき設備に投入したものと思われます。


広場にあった一枚の看板がこの神社の来歴を教えてくれました。
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ふむふむ、資源に乏しい戦時下の日本において軍需必需品であるニッケルを採取するため、この鉱山が開かれ、工場も建設されたと。ところが、質としてはもはや鉱山と呼べないようなモノだったため、戦後すぐに鉱山は閉鎖されトロッコも廃止になったのでしょう。
戦争という事態に陥らないかぎり生まれることのなかったものではありますが、日本初の大規模ニッケル鉱山とはなかなかの物件です。
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看板の向かい側には蛇紋岩。これが戦時下の日本を支えたのです。


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そろそろ日が暮れてしまうので広場を後にし林道へと戻ります。
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広場は不自然に谷へと延びていました。
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歴史を噛み締めながら帰還。路盤の残存状況も良好ですし、隠れ家のようでまた訪れたいスポットです。